ピアノの発表会、人前での演奏。
我が子が舞台に立つその姿は、どこか誇らしく、でもドキドキもして…。
練習ではできていたことが、本番ではうまくいかない。
そんなとき、ある言葉に出会いました。
「舞台に棲む魔物」。
なんて不思議で、ちょっと詩的な響き。
でもこの言葉には、ピアノを通して子どもが体験する“本番の怖さ”と、それを乗り越える“成長の芽”が込められているように感じたのです。
目次
「舞台に棲む魔物」とは?

「舞台に棲む魔物」
という言葉は、明確な定義こそないものの、舞台芸術やスポーツの世界で広く使われてきた表現です。
リハーサルでは完璧だったのに、本番ではなぜかうまくいかない。
頭が真っ白になる。手が震える。言葉が詰まる——。
そんな“自分でも説明できない不調”を、人は「魔物の仕業」と呼んだのかもしれません。
ピアノの世界でも、本番のステージだけに現れる“見えない存在”としてこの言葉が語られます。
まるで、舞台にしか棲んでいない、見えない“魔物”がいて、それに試されるかのような瞬間。
4歳の娘にはまだ見えない「魔物」

うちの娘は、まだ4歳。
ピアノを習い始めて1年ほどです。
この前、初めての小さな発表会に出ました。
大きなステージではありませんが、ちゃんと照明もあって観客もいて、娘にとっては初めての「本番」。
でも不思議なことに、娘はまったく緊張していないように見えました。
ニコニコしながら舞台袖に立ち、ぴょこっとお辞儀をして、嬉しそうに弾き始める姿。
「本番怖くなかった?」と聞いても、「ぜーんぜん!たのしかった!」と即答。
きっと、今の娘には「魔物」はまだ見えていないのでしょう。
でも、それでいい。
今は“ピアノ=楽しい”という気持ちを育てることのほうが、ずっと大切だと思っています。
親ができる「魔物との付き合い方」の準備

子どもが成長していく中で、いつかきっと「舞台に棲む魔物」と出会う日が来るはずです。
そのとき、親としてできることはなんだろう?そう考えるようになりました。
✅「間違えても大丈夫」と伝える
子どもは親の期待に敏感です。
「失敗しちゃダメ」と思えば思うほど緊張してしまいます。
- 「間違えてもいいんだよ」
- 「お客さんは、音楽を楽しみに来ているんだよ」
そんな言葉を繰り返し伝えることが、魔物との付き合い方の第一歩になるはず。
✅ おうちで“ちょっと本番ごっこ”
発表会前には、家で小さな本番を作ってみるのもおすすめです。
ぬいぐるみを並べて観客にしたり、親がわざと真剣な表情で聞いたり。
「なんか緊張する~」と笑いながらも、“ちょっとドキドキ”を体験しておくことで、魔物の正体がぼんやり見えてくるかもしれません。
✅ 終わったあとの声かけが大事
本番が終わったあと、「うまく弾けたね」よりも「がんばったね」「楽しめたね」と、事実や気持ちを肯定してあげたい。
それが、次もまた舞台に立ちたいと思える自信になります。
魔物は頑張った人にしか見えない

「舞台に棲む魔物」は、誰にでも見えるわけではありません。
それはきっと、“本気で頑張った人”だけが見える存在。
娘が今後成長していく中で魔物に出会い、怖くなったり悔し涙を流す日が来るかもしれません。
でも私は、そのときそっと言ってあげたいのです。
「魔物が見えたってことは、あなたが本気でがんばった証拠だよ」
ピアノを通して学ぶ“本番の怖さ”と“それを超える力”。
そのどちらも、きっと彼女の宝物になると信じています🎵