「同じ楽譜を同じピアノで弾いているのに、なぜか先生の音はきれいで、自分の音は違って聞こえる…」
そんな経験、ありませんか?
ピアノは鍵盤を押すだけで音が出る楽器。
バイオリンや声楽のように音程を“作る”必要はありません。
でも実は、「誰が弾くか」によって音の表情や響きは大きく変わるのです。
今回は、
- なぜ弾く人によって音が違うのか?
- どんな要素が音色に影響するのか?
- 初心者でも“いい音”を出すコツ
について、分かりやすく解説します。
目次
なぜ?同じピアノでも弾く人によって音が違う理由

ピアノの音の違いは、「鍵盤を押す強さ」や「速さ」だけでは説明できません。
次のような要素が複雑に絡み合って、“その人の音”が生まれるのです。
① タッチの深さとスピードの違い
鍵盤を押す速さ(打鍵速度)や、どれくらい“深く”押し込んでいるかは、音色に直結します。
- 浅く速い打鍵:軽く、明るい音
- 深くゆっくりした打鍵:しっとりした音、重厚な響き
プロのピアニストは、1音ごとにこのニュアンスを使い分けています。
② 手首や腕の使い方
実は指先だけで鍵盤を押しているわけではありません。
手首・ひじ・肩・背中といった「身体全体の使い方」が音に反映されます。
- 手首が固い → 音が硬くなる
- 腕の重みをのせられる → 音に“深み”が出る
この“身体の連動”は、初心者と上級者の大きな差となります。
③ ペダルの使い方
同じ音でも、ペダルを踏むことで響きが大きく変化します。
特にダンパーペダル(右ペダル)は、音の余韻やなめらかさをコントロールする重要な要素。
- 適切なタイミングで踏む → 音が豊かに響く
- 適当な使い方 → 音がにごったり、だらしなく聞こえることも
微細な操作で印象がガラッと変わるのです。
④ 心や表現の“意図”が音に出る
音楽は“感情を伝える芸術”です。
たとえ打鍵の力やペダル操作が似ていても、「どういう気持ちで弾いているか」は、聞く人にも伝わります。
- 「やさしく歌いたい」と思って弾く → 柔らかい音になる
- 「堂々と響かせたい」と意識 → 力強く芯のある音に
つまり、“意識”が音を変えるのです。
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◆ 発表会やレッスンで「同じ曲」を聴いたとき
他の人が同じ楽譜を弾いていても、「なんか違う」「あの人の音がきれい」と感じることがありますよね。
それは、音の出し方に“個性”が出ている証拠です。
特に、先生が弾いたときの音は「キラッとする」「自然に響いてる」と感じることが多いはず。
それは長年のタッチ、ペダル技術、そして表現力の積み重ねです。
◆ YouTubeの弾き比べ動画
同じピアノ曲でも、ピアニストによってまったく印象が違います。
ある人の演奏は軽快で明るく、別の人は情熱的で重厚だったり。
これは単に「テンポが違う」というだけでなく、音の“質”そのものが変わっているからです。
初心者でも“いい音”に近づく!意識すべき3つのポイント

「上手な人じゃないと、いい音は出せないの?」と思うかもしれませんが、初心者でも“きれいに聞こえる音”を出すコツがあります。
① 鍵盤を“叩かない”で、“押す”イメージで
初心者にありがちなのが、「音を出そうとして力んで叩いてしまう」こと。
すると、ガツンとした硬い音になってしまいます。
✅ 指先だけで「トン!」と弾かず、
✅ 指→手首→腕の重さをゆっくり伝えるように「沈める」イメージで。
音に丸みが出て、ぐっと大人っぽい響きに近づきます。
② 手首を柔らかくして力を抜く
手首が固まっていると、音もカチカチに聞こえます。
弾いた後に手首を“ふわっ”と上げるだけでも音が軽やかに変化します。
◎ 練習の中で「手首の柔らかさ」にも意識を向けてみましょう。
③ 自分の音を“よく聴く”習慣を持つ
上達の第一歩は、「自分の音をよく聴く」こと。
たとえば…
- 弾いたときの音の響きはどうだったか?
- 音が短く途切れてないか?
- 強すぎたり、雑に聞こえてないか?
自分の音に「耳をすませる」ことで、少しずつ音色の質も変わってきます。
【よくある疑問】「電子ピアノでも音に差は出る?」

結論から言うと、電子ピアノでも弾き手によって音の印象は変わります。
もちろん、グランドピアノほど音色のバリエーションは出ませんが…
- タッチの強弱
- 音のつなぎ方(レガート)
- ペダル操作のタイミング
これらは電子ピアノでも十分に反映されるため、「うまい人の演奏は電子でも伝わる」とよく言われます。
むしろ、電子ピアノだからこそ「丁寧に音を出そう」とする意識が身につくこともありますよ。
まとめ:音色は“あなたらしさ”が出る大切な要素

ピアノは「誰が弾いても同じ音が出る」ようでいて、
実は弾く人のタッチ、姿勢、感情、表現がすべて音にあらわれる楽器です。
だからこそ、面白い。
だからこそ、奥が深い。
プロのような演奏ができなくても、“あなたの音”を大切に育てていくことが何よりの音楽体験になります。
ぜひ1音1音を丁寧に、そして「どんな音を出したいか?」を想像しながらピアノを楽しんでくださいね🎵